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転職を考える薬剤師がすべきことは仕事への価値観を見直すこと

薬剤師が転職を考えるうえで要因の一つとなるのは今の職場に違和感を覚えたときや、子育てが落ち着いて時間が空いたときが多いかと思います。

地域にもよりますが薬剤師の免許はまだまだ十分に価値が高く、転職活動を始めれば少し条件が付くとはいえ数社からの内定をもらえることが多いかと思います。

これから働く職場を決めるにあたり失敗してしまう一つの原因は『高い給料が魅力に映り決めてしまうこと』だと私は考えています。

そのお金に惑わされずに満足のいく転職をするにはどのように考えればよいのかを解説します。

目次

仕事にやりがいを求めるかお金を求めるかをはっきりさせる

薬剤師は当然ながら薬学部を卒業しなければ免許を取れません。

薬学部に進学しようとした理由は様々で

  • 小さい時に入院した時、医療に助けられたので医療関係につきたかった
  • 化学とか数学とか得意だったから
  • 親が薬剤師や看護師で、薬剤師をすすめられたから
  • なんか給料が良いみたいだし安定してそうだから
  • アンサングシンデレラを見て石原さとみさんがかっこよかったから

のように志望したきっかけは様々あると思います。

また、薬剤師として働くことでこの仕事に対して使命感を持ちガイドラインを読み込んで患者さんのために医師と同じ目線で治療に対して議論を交わすこともできれば、医師の処方が最低限間違っていないようにチェックする程度で報酬をもらうこともできます。

仕事に対する価値観は人それぞれなので、ご自身が薬剤師という仕事にやりがいなのか?高いお金なのか?休日とそこそこのお金なのか?この優先順位をはっきりさせることが間違わない転職につながります。

自分の仕事に対する価値観を認識する質問

日々仕事をしているときには忘れてしまうかもしれないですが、薬学部に進学しようと思ったときには何らかの理由があって、実際に働き始めて調剤や服薬指導をしていくうえで楽しい事や苦手なことが出てくると思います。

私は職員採用面接をする際に様々な質問をして私自身と似た感覚をもって患者さんや薬に対して薬剤師として向き合っているのかを確認するために以下のような質問をしています。

私が求める人材として具体的にはガイドラインに沿った治療を理解して、患者さんの医療に対する不安について正しい知識をもって答えられるような人を探すため、下記の質問をしてどのような意識を持って仕事に取り組んできたかを汲み取っています。

なぜ薬剤師になろうと(薬学部にはいろうと)思いましたか?

薬剤師となったきっかけを聞きます。

親が医師や薬剤師・看護師などの医療従事者で「薬剤師って安定していて良い職業だから選んだ」という何となくという理由もありますし、「子供の時に入院して、病院にお世話になった。私もやりたいと思って色々調べたら薬剤師に興味を持った。」という自分の心が動いたきっかけとなりそれを誰かにしてあげたいという方もいます。また「ぶっちゃけそこそこお金がもらえて体を動かさない仕事だと思ったので」という答えの人もいます。

何気ない質問ですが何かを始めるきっかけはすごく大事で、仕事に対する姿勢として『やりがい』を求めるのか『お金』を求めるのかに影響を与える部分です。

薬剤師は必要だと思いますか?

今までの仕事のに対してどのように向き合い薬剤師という仕事に対してどう考えているかを聞きます。

薬剤師は医師の指示のもとで仕事が成り立つため、自分の思い通りに動けないことも多いです。

「医療はミスが起こせないので絶対に薬剤師は必要です!」という人もいれば、「今の薬を調剤して渡すだけならいらないと思います。AIに取られちゃいますよね。」というネガティブな人もいます。

個人的には「私が薬剤師としてかかわる事で医療の質が上がります!だから必要!」と前向きな意見を持たれていると嬉しいです。

認定等の資格はありますか?

普段の仕事に加えて勉強しているかの質問です。

王道は薬剤師研修センターの研修認定薬剤師ですが、各学会が認定している『緩和ケア認定薬剤師』や『がん認定薬剤師』といったさらに踏み込んで特化した資格を持っている方はかなり勉強をする人なんだと好印象です。

この質問はかかりつけ薬剤師加算の条件に『認定等を保有している事』という条件があるため、かかりつけ薬剤師として患者さんにかかわっていきたいか?調剤報酬に関心をもっているか?ということもみています。

初めの就職先はどこでしたか?

「なぜ薬剤師になろうと思ったのか?」という質問から大学で勉強し就職した時に何を思ってどこに就職したのかを聞きます。

「大学の先生がとにかく病院に行けというから病院薬剤師でした。」「友達がみんな薬局だから薬局にしました。」「OTCや化粧品などに詳しくなりたくてドラックストアにしました。」など様々です。

一般的に学生の就職活動の時は『病院薬剤師=給料安いし大変、勉強するために行く。』『調剤薬局=王道で給料そこそこ、勉強できる。』『ドラックストア=給料高い。OTCもやるし品出しもやる。』といった感じで選ぶ人がほとんどだと思います。実際には一概にそんなこと言えないんですけどね。

この質問ではいざ就職しようとしたときに日々勉強するために就職したのか?みんなと同じような道を選ぶのか?などを聞きます。

一番好きな診療科(領域)は何ですか?

この質問は病態や薬に対してどれくらい興味を持ちかかわろうとしてきたのかを聞きます。

医師は消化器内科や乳腺外科など様々な専門家として活躍されていますが、薬剤師はすべての診療科にかかわらなければなりません。

そんな中で真剣に向き合っていれば「がんはすごい好きだけど抗菌薬はどうしても苦手。」「精神科はすごい面白いと思うけど循環器は薬が覚えられない。」といったように責任感や追及心があるからこそ好き嫌いというのが出てくるのも当然だと私は考えています。

自分のファンと言える患者はいましたか?

ほんとうの意味でのかかりつけが取れるかどうかを聞いています。

患者さんに対して真剣に親身に説明していればおそらく自分のファンとなる患者さんがついてくると思いますし、思い浮かばないのであれば薬剤師として程々の距離感で仕事に望むのも悪くないと思います。

関わった中で一番後悔している患者さんのエピソードはありますか?

「ファンと言える患者さん」と同様に、自分が関わって失敗した事例を聞いています。

これに対するエピソードが薬の提案による失敗だったのか?それともおまたせしてしまったことによる失敗なのか?患者さんへの説明の言葉遣いなのか?を確認します。返答の仕方によって薬剤師という仕事に対して薬に対してなのか、接客に対してなのかなどどこに比重をおいて取り組んでいるのかを確認します。

かかわった中で患者さんが良くなった事例はありますか?

「後悔している患者さん」の反対バージョンです。

医師や看護師と協力・提案をして関わっていたのか?患者さんに対して親身になって説明を行い患者さんを前向きにさせることができたのかなどどのようなアプローチをしてきたのかから、仕事に対する取り組む姿勢を確認します。

ワーファリンの適正値は答えられますか?

学術的にどれくらい意識して処方箋に向き合っているかを確認します。

これ自体に答えられるかどうかではなくて、どんな反応をするかを見ています。

『あ~、ワーファリンですね。わかります、INRですよね。あの本のあそこに書いてあります。答えられなくてすみません』

という人もいれば。

『ふーん、そうなんですか。』

みたいな感じで答えられなくて悔しがる人と別にしらんけどって感じの人に分かれます。

薬剤師としてはかならず触ったことのある薬だと思いますので、どのように薬に向き合っているかを確認します。

薬局が求める人材も異なる

求職者が自分にあった企業を探す反面、当然のことながら薬局も方針にあった人材を探しています。

保険薬局である調剤薬局は厚生労働大臣が定める行為に対し点数が決められておりそれをもとに利益を出しています。

調剤報酬という同じルールの中で経営しているため、ある程度は同じ仕事をしていくことになりますが在宅に力を入れたりセルフメディケーションに力を入れたりと働いてみると立地や経営者によってかなり方針が違います。

ご自身の薬剤師という仕事に求めるのは『がんなどの専門治療にかかわりたい』『精神科などの日々の症状に苦しむ方への寄り添いたい』『そこそこのお金さえもらえればなんでもいいので定時に帰りたい』など人によって働くべき薬局は変わります。

薬局としても1日に患者が500人以上来るから手短に薬の説明をしてとにかく人数をこなしてほしいという要望もあれば、しっかり知識をつけて患者さんの悩みに答えていきたいなど様々です。

先程の質問を頭の中で答える中で、ご自身がより患者さんに寄り添って仕事をしたいのか、もしくは仕事として割り切って薬剤師としては最低限の勉強で給料をもらいたいのか?など大まかな方向性を持って転職活動を進めれば、ミスマッチを防いでいくことができると思います。

自分の仕事に関する価値観を持ちそれに会った企業を探しましょう

薬剤師になったきっかけが様々なように、仕事に対するモチベーションや力の入れ方などは様々あります。

ここに気づかずにあんまりやる気がないけど意識が高い薬局に就職してしまったり、がんやHIVなどすごい専門性を磨いていきたいのに幅広く対応する薬局に就職してしまったりすると仕事に対するモチベーションを保つのが難しくなります。

上記の質問を参考に一度なぜ自分は仕事をするのか?どこまでを求めているのか?を再考し、満足の行く転職活動につなげるよう準備することをおすすめします。

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