転職を考えたときに最も大切なのは「自分は仕事に何を求めているのか?」を再確認することだと私は思います。
何を優先したいかは人それぞれ、だからこそ価値観を見直して正直になることが転職活動の成功の鍵を握っています。
例えば薬剤師という仕事に対してもこのような考え方の人がいます
- 在宅に関わりながら患者さんの希望を叶えていきたい
- がん領域の専門性を深め、認定薬剤師として医師と対等に議論していきたい
- 家庭を第一に、午前中だけ無理なく働きたい
- とにかく奨学金を返さなければならないから年収重視で働きたい
どれも立派な働く理由です。
「やりがい」にフォーカスする人もいれば「収入」を優先する人もいます。
世間的には「やりがいのある仕事をする人が一番誇らしい」といった空気感を感じることもありますが、『純粋にお金を稼ぐために働く』といった動機も十分に誇れるものだと思います。
ただし、高い報酬を求めるということはそれ相応の技術や責任求められるのは当然のことです。
今回は「給料の良さ」に注力した転職活動について考え方と懸念点を考えていきましょう。
まずは相場を知る
保険薬局は患者さんへ診療報酬のもとで服薬指導やお薬を提供するといった療養の給付をしてお金をいただく仕事です。
日本全国で同じ診療報酬のもとで計算して利益を上げてそこから給料が支払われるため自ずと薬剤師に払える給料というのが決まってきます。
その薬剤師がもらっている平均値がわからないと年収が高いのかも判断できないので相場を確認してみましょう。
薬剤師の年収ってどれくらいなの?と言う記事で調べてみましたが、令和5年度の賃金構造基本統計調査から見るとだいたい40代で550万円~600万円くらいが薬剤師の年収の相場のようです。
また、薬剤師がどれくらいの金額でオファーがあるかは転職サイトを確認してみましょう。『年収700万円~』などで検索してみると大体が「500万円~750万円」といったように振れ幅があります。
登録しなくても見ることができる情報も多いので一度転職サイトで『働きたい地域』『年収600万円以上(最高値)』などで検索してみるとその地域での上限を知ることができますので検索してみてください。
年収が高い職場で働くメリット
給料が高いとそれだけ経済的な余裕ができてきて様々なメリットが考えられます。
年収が高い職場で働くメリットを3選挙げてみましょう。
生活にゆとりができる
年収にフォーカスを当てていると何より手取り収入が上がることでしょう。
例えばざっくり計算ですが、年収520万円の人の手取りは大体405万円。月の手取りは約33.8万円となります。
650万円の年収となると手取りは487万円。月の手取りは40.6万円
単純計算ですが月の手取りが6.8万円にもなります。毎月約7万円の余裕があれば子どもにテニスを習わせることもできるしトレーニングジムの月謝も余裕で払えるし、子どもがいなければ夫婦二人で高級ディナーに行っても手元に残りますね。
今後のスキルアップに繋がる可能性がある
デメリットの部分でも後で記載しますが、年収が高い職場というのは何かしら理由があるものです。
よく聞く話が
- 薬剤師1人+事務1人でお昼は入力から監査・投薬まで一人でやらなければならない
- 患者さんの波がすごくて花粉症の時期は100枚の処方箋を2人の薬剤師で対応する
- エリアマネージャー採用のため毎日違う店舗の違う人達と仕事をしてマネジメントを期待される
と言った感じで昼も休む暇がなかったり、広範囲で人の管理を任されたりと多くの仕事を任されることが考えられます。
捉えようによっては
と言った感じで次に転職しようとしたときのスキルアップとして捉えることもできます。
年収が高いところで働くデメリット
それでは逆にどのような悪いことが考えられるでしょうか?
保険薬剤師の報酬は診療報酬によって決められているため、高い報酬をもらうためには何らかの付加価値を求められてきます。メリットの部分にも書きましたが企業が高いお金を払って雇うということはそれなりの理由があるものです。
具体的に見ていきましょう。
求められる業務量が多く責任も重い
調剤報酬において収入の柱となる一つに『地域支援体制加算』があります。この加算を取ることで経営的にかなり収益に貢献できますが、加算を取るに当たり
- 24時間体制で処方箋を応需すること
- かかりつけ薬剤師指導料の実績が1万枚あたり20回以上あること
- 在宅の実績が24回以上あること
- 緊急避妊薬の備蓄(研修会の受講)
など、いつでも電話に出られる体制を整えたり、患者さんに丁寧に説明指導医をもらって「かかりつけ」となってもらったり、在宅患者を常に担当していたりとそれなりの労力とハードルがあります。

ちなみに診療報酬にのっとって加算が取れる薬剤師は重宝される存在となりますので積極的に取れる人でないと年収アップは難しいでしょう
年収600万円以上を目指そうとすると管理薬剤師が必須と考えると、薬局の人や物の管理も求められます。
高い年収には重い責任というのがセットで付いてくると考えておきましょう。
僻地など需要のあるところに引っ越すことで実現するかも
年収が高い案件の条件の一つに『田舎で働く』と言った選択肢があります。
令和5年度賃金構造基本統計調査で調べたときにも出てきましたが、薬剤師の年収は地域によって大きく異なります。
全国平均は40.3歳で577.8万円、一番高いところは広島県で46.5歳705.9万円、一番低くて徳島県で40.2歳463.7万円。
年齢の違いもありますがなんと242.2万円、月額20万円も差が生まれてきます。



徳島県という都会で働くのは考え直したほうが良いですね
と突っ込まれそうですが、地方であっても薬学部があるかどうか・そもそも人口が減っているため薬剤師の需要自体が減っているか?といった感じで必ずしも都市じゃないから高いと言ったわけではありません。
年収が高い都道府県は地方都市が多いのは事実で、薬剤師需要が高いところに自分自身が移動することを検討しましょうということです。
職場環境が良くない可能性もある
高い給料で求人を出している企業は裏を返せば『高い給料を払わなければ人が来てくれない』といったことが言えてしまいます。
- 山手線から5駅
- 駅から徒歩5分
- 土日休み
- 年収700万円以上確約!
といった感じで、人がいくらでも集まりそうな立地なのにもかかわらず高い給料を提示している場合は人間関係がわるく人が定着しなかったり、会社の方針で加算を取らないと責められるといった風潮があったりなど、提示されている条件だけではわからないところを疑ったほうが良いと思います。
ただし、個人薬局でたまたま人が辞めてしまったタイミングで、薬局が閉まっていては地域住民に支障が出るため背に腹は変えられず高単価の求人を提示することもあります。
このようなラッキーな案件である可能性も少なからずあるので、そのような案件を見つけたら少し警戒しながら見学に行ってみることは良い行動だと思います。
年収が働くモチベーションになるならそれを軸に転職活動をしてみるのはあり
薬剤師が転職を考えるうえで『年収』を軸に行動するメリット・デメリットを考えてみました。
高い年収はそれだけで働く理由となり、雇う企業からしても



うちの薬局は給料低いからやる気でないわ
といってサボってしまう従業員よりも



うちの薬局は給料高いのがいいんです、その分頑張ります!
といった感じで社員のモチベーションがたとえ『お金』であったとしても、患者さんに笑顔で接してしっかり加算を取って利益を上げてくれる薬剤師の方が良い従業員に移ります。
新卒で入社して3年目転職なんて考えたことがなく、年収430万円といった金額で働いている人もいると聞いたことがあります。
『高い年収』に限らず、『今と同じくらいの働き方で年収って上がらないかな?』と言う目線で転職活動を初めて他の会社を見てみるのも「年収」を軸にした転職とも言えると思います。
年収の高いところへの転職はそれなりのリスクを伴いますが、その分お金という一番わかり易い形で戻って来る行動となります。
今の収入に少しでも不満がある方は「年収」を軸に転職活動を初めてみてはいかがでしょうか?
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