MENU

薬剤師が大手チェーン店で働くメリットは『加算』を知ることができる

薬剤師が保険業務を行っている調剤薬局で働く際に悩むのが勤務先の形態になるかと思います。

保険薬局として調剤業務を行っている会社として大まかに

  • 全国規模で大きくやっているチェーンの調剤薬局
  • 関東エリアなど比較的手広くやっているチェーンの調剤薬局
  • 1~5店舗程度でローカルでやっている個人経営薬局
  • 全国規模で展開するドラックストア
  • 地方で展開しているドラックストア

と言った感じで会社の規模や出店している範囲など会社によって様々な戦略がありそれによって働く環境が変わってきます。

今回は薬剤師が大手調剤薬局チェーン店で働くメリットを『加算を知る』という視点で見ていきます。

目次

大手チェーン店で『加算』が求められる理由

店舗数が多いチェーン店では多くの場合『かかりつけ薬剤指導加算』『服用薬剤情報支援料』『後発医薬品使用体制加算』などなど、様々な加算を取ることを本部などからしっかり取っていくように言われると聞きます。

チェーン店はなぜそれほどまでに加算を求められるのでしょうか?

チェーン店は調剤報酬において基本料が低い

皆さんは調剤報酬の細かい点数についてどれくらい把握しているでしょうか。

厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】より

令和6年度の診療報酬改定【調剤】の調剤基本料のところを見てみると一般的な個人薬局が取っている調剤基本料1が45点に対して、大型チェーン薬局は高くて35点と▲10点の差があります。

たった10点と思いがちですが、1日30人来る薬局と想定してみて計算してみると

年間処方箋枚数の概算
1日30枚×24日(1月あたり営業日)×12ヶ月=8,640枚

1点あたり10円の診療報酬がもらえるので8,640枚×100円(10点)=864,000円と同じ仕事をしていてもこれだけの利益の差が生まれます。

この背景には大型チェーンは店舗数が多く多くの人を雇い在庫の融通がきくことなど効率的な経営ができるから評価を見直すというのが診療報酬のコメントでできています。

大型チェーン店は店舗が多い分やっとっている人材も多いため、小さな店では薬剤師を2人雇わなければならないところを複数店舗間で合計1.5人のように人件費を抑えることもできますし、医薬品卸との仕入れの交渉でも多くの薬品を仕入れるためその分安く済ませることができる可能性が高いです。

基本料が低い分を加算でカバーする

いくら効率的な経営でカバーできるとはいえ薬局は従業員に給与やボーナスを払ったり効率化を測るために自動分包機を購入したり、店舗展開をするための資金と経営していくうえで利益を上げていくことが重要となってきます。

企業によっては自社ブランドのサプリメントや化粧品を開発しているところもありますが、保険薬局である以上は厚生労働省が求めている診療報酬に則って加算を取得して利益を上げていくことが薬局としての健全で本質的な利益となります。

そこで会社としては利益を上げるために『地域支援体制加算』『後発医薬品使用体制加算』『かかりつけ薬剤師指導料』『服用薬剤調整支援料』といった加算を積み重ねて1人の患者さんからの利益を上げようとして働いている薬剤師に加算の取得を求めます。

薬剤師

加算を取ってしまうと患者さんの自己負担が上がるから可哀想

と言って加算を取るのを避ける薬剤師がいますが、診療報酬における加算は厚生労働省が薬剤師がどのような仕事をしてほしいという方針があり、それに沿ったことをするとそれだけ評価して加算を取っていいという考えがありますので私は堂々と仕事をして加算をいただくことは必要なことだと思っています。

加算を意識するとその後の転職に有利に働く

働いている薬剤師からすると会社から『加算を取れ』と言われるのは正直面倒なことです。中小企業は家族経営のところも多く、加算など意識せずに服薬指導を繰り返して同じくらいの給与水準で給料をもらうこともできます。

なぜわざわざ大手チェーン店のようなところでめんどくさい加算を取るための仕事をしたほうが良いのか?その答えとして、これからの薬剤師は「モノ」から「ヒト」へというスローガンがありそれは加算を意識すれば自ずとそのような薬剤師に近づいてきます。

さらに加算が取れる薬剤師は転職を考えたときに会社に大きな利益をもたらすことができて転職時の給料や休日などの条件交渉も有利に進む可能性があるためです。

地域支援体制加算が経営に与えるインパクトは大きいと言う記事にも書きましたが受付した処方箋全てからいただける加算というのは非常に大きいです。

転職活動の中で経営者の立場からすると以下の2名の薬剤師が来たとしてどちらが印象が良いでしょう?

薬剤師

中小薬局で薬剤師として働いていました!
認定は持っていませんが患者さんからの評判は良いと思います!

薬剤師

大手のチェーン店で働いていました!
会社の方針でかかりつけ薬剤師を10名同意いただいていましたし、トレーシングレポートも月に10件は書いていました。
もちろんかかりつけを取っているので薬剤師研修センターの認定も持っていますし、認定実務実習もあるので実習生に教えることもできます。

といった感じでいくら患者さんの評判が良くてもその人が具体的にどのような仕事をしているのか分かりづらいのが薬剤師の仕事です。

一方で会社の方針で加算を取ることで、具体的な薬剤師業務を数値化することになり結果的に今までやってきた薬剤師の業務を数値化してアピールすることに繋がります。

ちなみに年間8,640枚の処方箋を受け付けている薬局で地域支援体制加算を取っていないとします。
加算が取得できる薬剤師が入職して地域支援体制加算1(32点)を取ることができると

8,640枚×32点×10円=2,764,800円

24時間対応や地域貢献活動など仕事は増えますが、年間で300万円近い利益を会社にもたらすことができますので大きな交渉の材料になることは間違いないです。

一度大手チェーンを経験するのは大きな学びになる

調剤薬局はチェーン店比率が低いと言われており、調剤医療費に対して調剤薬局の売上高を見てみると10%程度と言われています。

診療報酬がベースとなりますが、中小企業が多く薬局ごとに経営方針や雰囲気など様々な薬局が存在するため薬局によっては

社長

加算とか細かいことは考えなくて良いよ。とりあえず売上はあるしね。

といった感じで、日々の業務をこなしている薬局も少なくないのが現状です。

そのような薬局で働くことは正直『楽な仕事』となるのですが、この先も長く調剤薬局の仕事をしていこうと思うと『モノ』から『ヒト』へという診療報酬の方針がある以上は保険薬剤師としての価値が低くなってしまう可能性が高いです。

長期的に薬剤師として働くことを考えている人は一度大手のチェーン店を経験して、大きい会社はどのような教育体制で『加算』を意識して取っていき、利益を上げているのかを学んでいくことも選択肢の一つとして考えておきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次