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薬剤師が知っておきたいiDeCoと企業型DC【制度の基本を解説】

薬剤師として働いていると、老後のお金について考える機会はあまり多くないかもしれません。毎月の給料はそれなりにもらえているし、今すぐ困っているわけでもない。そう感じている方も多いと思います。

ただ、薬剤師という職業は大手チェーン店から中小企業まで会社規模が様々あり、それによって退職金の金額や制度など大幅に変わってきます。

給与面では免許を持っているだけで450万円〜600万円程度と比較的高い年収を安定してもらうことができ、老後の資産形成を考えるうえで、実はかなり有利な立場にあります。今回は老後の資産形成を考える上で避けては通れない「iDeCo(イデコ)」と「企業型DC(企業型確定拠出年金)」について、制度面を薬剤師目線でわかりやすく整理します。

結論としてはどうしてもお金があると使ってしまう人は強制的に貯金ができ老後まで引き出せないため有効ですが、60歳まで資金が引き出せなくなるため使い勝手が悪い側面もあります。

私の意見としては人によって使うべきかどうかは分かれますが、投資をするならNISAをした方が良いと考えております。

目次

確定拠出年金とは?

iDeCoと企業型DC、どちらも「確定拠出年金」という同じ仕組みの上に成り立っています。毎月一定額を積み立て、自分で運用しながら老後の資産を作っていく私的年金制度です。「確定拠出」という名前の通り、拠出する金額はあらかじめ決まっていますが、受け取る金額は運用次第で変わります。

社長

国が「税制優遇するから老後のお金は自分で準備してね」って言ってるようなもんだよね

なんて言われることもあります。

この制度には、大きな特徴が2つあります。

ひとつは、60歳になるまで原則として引き出せないということです。老後のための資産形成が目的なので、途中で急にお金が必要になったとしても引き出すことはできません。たとえば自分自身が50歳、子供が18歳になり「子供の大学費用に250万円必要だからiDeCoから補填しよう!」と考えても引き出すことはできません。これはデメリットに聞こえるかもしれませんが、裏を返せば「強制的に老後のお金を守れる仕組み」とも言えるため、浪費家にとっては老後に資産を残すため有効な策となります。

もうひとつは、税制上の優遇です。iDeCoの掛金は全額所得控除の対象になるため、毎年の所得税・住民税が軽減されます。運用中の利益も非課税で再投資されます。薬剤師は500万円程度の年収が見込めるため、この節税効果は長期で積み立てるほど大きくなります。

ただし、受け取るときには注意が必要です。60歳以降に受け取る際は、一時金として受け取れば退職所得、年金形式で受け取れば雑所得として課税されます。受け取り方によって税負担が変わるため、積み立てながら出口戦略も意識しておく必要があります。

iDeCoと企業型DCって似たようなものって本当?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で毎月一定額を積み立てて、自分で運用する私的年金です。掛け金が全額所得控除になるため、節税効果が高い点が特徴です。ただし、60歳まで原則として引き出すことができません。

企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が毎月掛け金を出してくれる年金制度です。iDeCoと同様に、60歳以降に受け取れます。どちらも「積み立てながら運用して、老後に受け取る」という仕組みです。

どちらも共通して言えることは以下の通りです。

  • 60歳まで一切引き出せない
  • 投資をした場合の運用益は非課税
  • 受け取りの際に税金計算が変わるのでややこしい

1点目と2点目については下の記事で詳しく解説しますが3点目についてここで少し補足します。受け取り方は「一時金」と「年金」の2択で、iDeCoも企業型DCもどちらも選べます。一時金でまとめて受け取れば退職所得として扱われ、退職所得控除が使えます。年金形式で毎月受け取れば公的年金等の雑所得として課税されます。どちらが有利かは退職金の有無や他の収入との兼ね合いによって変わるため、iDeCoや企業型DCを始める時には少なくとも出口戦略を考える必要があります。

iDeCoと企業型DCの大きな違いは「誰が掛金を出すか」です。iDeCoは自分のお金を積み立てるのに対し、企業型DCは会社が掛金を出してくれます。企業型DCは言わば「会社が代わりに老後の積み立てをしてくれる制度」であり、自分の手取りを減らさずに資産形成できる点が大きなメリットです。

ただし、注意が必要なのは企業型DCが「退職金の代わり」として設計されている会社もあるという点です。退職金制度は廃止してその代わりに企業型DCを導入している、というケースが少なくありません。その場合、企業型DCがあるからといって「退職金+企業型DC」で二重にもらえるわけではなく、実質的に退職金が企業型DCに置き換わっているだけです。求人票や就業規則で「退職金制度あり」と「企業型DCあり」の両方が別立てで記載されているかどうか、入職前に確認しておくことをおすすめします。

「退職金は本当にもらえる?」という不安を積立によって解消

薬局に勤務している薬剤師の方の中には、具体的に今の会社で定年まで働いた場合にいくらもらえるのかを把握している人は少ないのではないでしょうか。

特に中小規模の薬局では、退職金規程がなかったり、あっても金額が明示されていないケースがあります。退職金は「あってもなくてもよい」ものであり、法律上の義務ではありません。そのため極端な話ですが、就業規則や労働契約書に「退職金あり」と書いてあったとしても、その金額が10万円でも、会社側が規程通りに支払えば法的には問題ありません。(会社の規定や規則に定められているかによって変わります。)

また、調剤報酬の改定が続く中で、先行きが明るいとは言いにくい業界環境もあります。勤めている薬局が経営難に陥ったり、大手チェーンから切り離されて意図しない転職を余儀なくされるケースも、決してゼロではありません。

薬剤師という資格は確かに安定しています。しかし、その資格を活かして給料をもらうのは中小企業です。資格が安定していることと、雇用している会社が安定していることは、必ずしも同じではありません。老後の資金を会社に期待するのではなく、自分自身で準備しておく意識が重要です。そのための手段として、iDeCoや企業型DCは有効な選択肢のひとつになります。

iDeCo・企業型DC共通のメリット:節税しながら強制的に貯金できる

iDeCoと企業型DC、どちらにも共通する大きなメリットが2つあります。

ひとつは節税効果です。iDeCoの掛金は全額所得控除の対象になるため、掛けた分だけ課税所得が下がり、毎年の所得税・住民税が軽減されます。企業型DCも、会社が出す掛金は給与として課税されないため、実質的に非課税で積み立てが進みます。さらに、運用中に発生した利益も非課税で再投資されます。通常の投資であれば運用益に約20%の税金がかかりますが、確定拠出年金の中では丸ごと次の運用に回すことができます。

もうひとつは強制的に貯金できる仕組みであることです。毎月自動的に積み立てられ、60歳まで引き出せないため、「気づいたら使ってしまっていた」ということがありません。引き出せないことをデメリットと捉える方も多いですが、「老後のお金に手をつけられない仕組み」として割り切ってしまえば、むしろ強力な武器になります。お金があるとつい使ってしまうという自覚がある方には、特に向いている制度です。

企業型DCの大きなメリット:「必ず自分のものになる」

ここで企業型DCの重要な特徴をお伝えします。企業型DCは会社が掛け金を出してくれますが、積み立てられた資産は従業員個人の持ち物になります。

退職金とは、この点が根本的に異なります。退職金は会社が「将来払う約束をしているお金」であり、会社が積み立てた資産の中から支払われます。そのため、たとえば30年間勤め続けた会社が退職直前に倒産してしまった場合、退職金が払われないリスクがゼロではありません。一方、企業型DCはすでに個人の口座に積み立てられた個人財産です。会社が倒産しようと、経営が苦しくなろうと、積み立てた分は確実に自分のものとして守られます。

また、転職を繰り返したとしても資産はきちんと引き継がれます。薬剤師のように転職が多い職種では、退職金が「5年以内は退職金なしだったり勤続年数が短いと雀の涙」になりがちですが、企業型DCは積み立てた分がそのまま次の器に移るため、キャリアの積み方に関わらず資産が積み上がっていきます。

iDeCo・企業型DC共通のデメリット:60歳まで一切引き出せない

iDeCoと企業型DC、どちらにも共通する最大のデメリットが「60歳まで原則として引き出せない」という点です。子どもの大学費用、住宅リフォーム、病気で働けなくなった——そういった場面でも、確定拠出年金のお金は引き出せません。「いざとなれば使える」という感覚で加入すると、後悔することになります。

またiDeCoの場合、加入期間が短いと受け取り開始年齢が60歳より後ろにずれることがあります。たとえば加入期間が10年未満の場合、受け取り開始は61歳以降になるなど、加入したタイミングによって引き出せる時期が変わる点も理解しておく必要があります。

さらに見落とされがちなデメリットとして、制度そのものが改悪されても途中でやめられないという点があります。「加入した当時は有利な制度だったのに、受け取る頃にはルールが変わっていた」というリスクを抱えながら、それでも60歳まで資金を縛り続けなければならない——これは他の投資にはない固有のリスクと言えます。NISAであれば制度が不利になったと感じた時点で売却・撤退できますが、確定拠出年金にその選択肢はありません。

企業型DC固有のデメリット:選べる商品が限られ、転職時に手続きが必要になる

企業型DCには、iDeCoにはない固有のデメリットが2つあります。

ひとつは選べる運用商品が会社の契約によって決まるという点です。iDeCoであれば自分で金融機関を選び、低コストのインデックスファンドなど幅広い商品の中から自由に選択できます。しかし企業型DCは、会社が契約している金融機関の商品ラインナップの中からしか選べません。会社によっては手数料が割高な商品しか用意されていないケースもあります。

もうひとつは転職・退職時に手続きが必要になるという点です。選択肢は主に3つです。

  1. 転職先の企業型DCに移管する:転職先にも企業型DCがある場合、そのまま移管して積み立てを継続できます。
  2. iDeCoに移管して自分で運用を続ける:転職先に企業型DCがない場合、iDeCoに移管して運用を継続できます。
  3. 「運用指図者」として積み立てを止める:新たな積み立てはせず、これまでの資産だけを運用し続ける選択肢です。

手続きを放置してしまうと、資産は自動的に国民年金基金連合会に移管されます。この状態になると運用も指図もできず、口座管理手数料だけが毎月発生し続けるため、何もしていないのに資産が目減りするという最悪の状態になります。転職・退職の際には、できるだけ早めに手続きを進めることを強くおすすめします。

まとめ:まず制度を理解してから、自分に合うかを判断しよう

iDeCoと企業型DCについて、制度の基本からメリット・デメリットまで整理してきました。最後に要点をまとめます。

iDeCoと企業型DCはどちらも、節税しながら老後の資産を積み立てられる私的年金制度です。掛金の所得控除、運用益の非課税、受け取り時の退職所得控除と、税制上の優遇が手厚い一方で、60歳まで一切引き出せないという制約は非常に重く、制度が改悪されても途中でやめられないリスクも抱えています。

企業型DCは会社が掛金を出してくれる分だけお得感がありますが、退職金の代わりとして設計されているケースや、選べる運用商品が限られるケースもあります。転職時の手続き放置による資産の目減りにも注意が必要です。

「良い制度だから入っておけばいい」というものではなく、自分のライフプランと照らし合わせた上で判断することが重要です。次の記事では、薬剤師という職業とこの制度の相性について掘り下げます。確定拠出年金が薬剤師にとって有利に働くケース・不利になるケースを具体的に解説しますので、あわせて読んでみてください。


iDeCoと企業型DCの制度についての解説は以上です。薬剤師という職業との相性については次の記事で詳しく解説します。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の投資・資産運用のアドバイスではありません。詳細は金融機関や専門家にご相談ください。

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