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医療用医薬品の出荷制限状況を確認する神ツール

令和2年12月、製薬会社が作っている抗真菌剤に睡眠誘導剤の混入事案が発生しめまいふらつきやこれに伴う自動車事故など衝撃的なニュースが有りました。記事はこちら

それと並行してコロナウイルスの流行に伴い咳止めや去痰薬の需要と供給のバランスが崩れて2024年現在もおおくの医薬品が出荷制限となり思うようにおくすりが入ってこない状況が続いています。

厚生労働省の目指す薬局の仕事は「モノ」から「ヒト」と言われていますが、薬が確保できないと患者への説明する機会すらないため、厳しい流通状況の中で在庫の確保を求められています。

取引先の卸さんに電話をして確認するのもよいですが、薬剤師がある程度流通状況を把握したうえで卸業者に問い合わせをすることで大幅に時間の削減になりますので自力で出荷制限状況を確認する方法を学びましょう。

目次

DSJP:医療用医薬品供給情報データベースを利用する

「DSJP(DrugShortage.jp:医療用医薬品供給状況データベース)」は、製薬企業が公開する出荷調整や出荷停止などの医薬品供給状況を一元的に検索可能なデータベースです。2021年初頭から始まった大規模な出荷調整による膨大な情報を整理するために、SNSで集まった有志によってデータ入力が行われました。
出荷調整などの告知は雛形も決まっておらず、製薬会社各々の方法で告知されているため、データは全て手入力でデータベースに登録されています。

一般社団法人asTasホームページより

出荷調整ラッシュが始まり従来は各製品を作っている会社のホームページを確認しに言って出荷状況を確認していたのですが、SNSで集まった有志によってデータベース化されました。

この素晴らしいツールのお陰で少し検索するだけで出荷制限状況を簡単に把握することができるようになりました。

運営している一般社団法人asTasのホームページによると、協賛会員として後発品メーカーや電子薬歴メーカー、広域卸など様々な職種の助けにより運営されているようです。

実際にホームページを開いてみます

Googleなどで『DSJP』と検索してみましょう。

検索結果として『DSJP|医療用医薬品供給データベース』というサイトが出てきますのでクリックします。

ホームページは下記のような画面になっています。

アテノロール50mgを探してみる

全件検索で探す

アテノロール50mg「日新」は2023年に他社製品の供給停止&原薬の調達が難しいことから在庫消失次第供給を停止、それに伴い25mg「日新」も限定出荷をせざる終えない状況とのことでした。

最近の医薬品流通状況ではよくある話で、1社が供給を停止すると他の会社も一斉に出荷制限をかけることが多いです。その中でも以下に生き残っている会社を探し当てられるかが在庫確保のポイントとなります。

先程のDSJPの検索窓に『アテノロール』と入力し検索してみましょう。

※ここで『アテノロール50』と入れても検索が0件でしたので一般名をいれる程度で検索したほうが良さそうです。

かなり長い画像ですが、アテノロールと名のつく製品を列挙して一覧にしてくれています。文字の色をそれぞれ変えて、通常出荷限定出荷供給停止、発売中止とかなり見やすく表示されています。

また、それぞれの包装単位ごとに検索が出てきますので同じ製品でも100錠包装や500錠包装などそれぞれ検索結果が出てくる形となります。

アテノロール錠50mg「日新」は発表通り100錠包装は供給停止、500錠包装は発売中止となっています。

上記検索結果ではアテノロール25mg「サワイ」が通常出荷のためこれに変更することを考えますが、『全件検索』はあくまでも出荷制限が1度でもあったものがリストとしてあげられます。

今まで出荷制限にならなかった製品は引っかからないので『代替品検索』という機能を使用します。

『代替品検索』を使って出荷制限のかかっていないものを探す

タブを『代替品検索』に変更して検索窓に「アテノロール」と入れます。そうするとアテノロールという名前の製品がすべて検索で出てきます。

さっきの『全件検索』で上がってこなかった会社の名前をなんとなく見ながら、どれでも良いのでクリックします。今回はアテノロール錠50mg「サワイ」をクリックしました。

するとアテノロール錠50mg「サワイ」の代替品一覧として下記のような検索結果が出てきます。

『告知日』『実施日』『供給状況』が空欄の製品であるアルセノール錠とアテノロール錠50mg「ツルハラ」は一度も供給制限がかかることなく今も通常出荷している事がわかります。

『代替品検索』でさらに便利なのが一番下の先発品であるテノーミンも大丈夫であることが確認できることです。

「日新」を採用していた薬局としてはとりあえずアルセノール錠もしくは「ツルハラ」を発注、最悪は先発品であるテノーミンを確保することで患者さんは治療を継続できそうです。

この結果をもとに卸に電話をすることでよりスムーズな発注が可能となります。

DSJPを利用して出荷調整を乗り切ろう

あれもこれも出荷調整で嫌になってしまいますが、それを確保するのも薬剤師の仕事です。

ITツールの進歩により自力で製薬会社のホームページを徘徊したり、MSに問い合わせすることなく自分でも検索する方法もあります。

いまの出荷制限に対して代替品を探すというスキルは薬局薬剤師にとって必須のスキルとも言えるものになっていると思います。

良いツールを利用して患者さんへの安定供給を実現していきましょう!

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