転職活動を考えている薬剤師に、ひとつ質問です。
あなたは今、「研修認定薬剤師」を持っていますか?
「持っていない」「まだ取っていない」という方は、転職活動を始める前にぜひ取得することをおすすめします。
この記事では、薬局経営者として採用面接を行ってきた立場から、なぜ転職前に研修認定薬剤師を取得しておくべきなのか、その理由を正直にお伝えします。
研修認定薬剤師があるとないとでは、採用側の印象がまったく違う
採用面接をしていると、同じような経歴の薬剤師でも「研修認定薬剤師を持っているかどうか」で、印象が大きく変わります。
なぜか。
それは、研修認定薬剤師という資格が「その薬剤師が自ら学ぶ姿勢を持っているかどうか」を示す、わかりやすい指標になるからです。
採用しようとする立場からすると、後述しますが調剤薬局で働く薬剤師にとって”かかりつけ薬剤指導”や”地域支援体制加算”に係る認定を持っているかどうかはその人が調剤報酬改定にどれくらい興味を持っているかを把握することになりますし、研修を受けないと取れないこの資格を持っているということは治療ガイドラインや新しい治療薬の知識もあるだろうと考えます。
研修認定薬剤師を取得するには、4年以内に40単位以上の研修を受講しなければなりません(毎年5単位以上の取得も条件)。90分以上の研修を受けると1単位取得することができますが、単純計算年間で10単位(15時間程度)と1ヶ月に1時間程度の勉強時間を確保すれば取れるため難易度が高いものではありません。
医療の現場は各疾患のガイドラインが数年ごとに置き換わりますし、毎年新しい薬も発売されます。患者さんに対してより良い医療を提供したいと思い、学ぶ姿勢のある薬剤師を採用したいというのはどんな経営者でも思っていることです。逆に学ぶ気のない薬剤師は採用するのにどうしても慎重になってしまいます。
eラーニングなら自宅で取れる。費用は2万円台から

「研修認定薬剤師の取得って、時間もお金もかかるんじゃないの?」
そう思っている方も多いかもしれません。以前は薬剤師会が主催する毎月の研修会に参加して認定シールをもらったり学会に参加してまとまった単位を取得するような方法でなんとか40単位を集めていた時代もありました。でも今は、eラーニングで自宅から受講して取得できる時代です。
代表的なeラーニングサービスの費用はこちらです。
- MPラーニング(公益財団法人日本薬剤師研修センター対応):年間16,500円
- 薬剤師生涯学習センター:eラーニングのみで最低23,000円〜(認定申請費含む)
申請費用なども含めたトータルの費用は、概ね3万円〜6万円程度が目安です。
仕事が終わった後や休日に、自分のペースで受講できます。通勤時間にスマホで受講したり、家事をしながらスライドを見たりなど隙間時間で勉強をすることができるため「研修会に行く暇がないんですよね」という言い訳ができないのが今の環境です。
MPラーニングのような年間受講し放題のサービスから、ナースの星といった組織がやっている無料セミナーで1単位取れるものなどさまざまな研修会がありますので、必要な研修単位に合わせて受講していきましょう。
3万円の投資で年収が10万円上がるなら、やらない理由がない
ここで少し、数字で考えてみましょう。
研修認定薬剤師の取得にかかる費用が仮に3万円だったとします。
この資格を持った状態で転職活動をすることで、採用側の評価が上がり、年収が10万円高い転職が成功したとしたら、どうでしょうか。
3万円の投資が、初年度だけで7万円のリターンをもたらします。年間のeラーニングの更新するための費用が約1万円かかりますが、2年目以降は毎年9万円のプラスです。
『年収交渉で10万円の差なんて、本当にあるの?』と思う方もいるかもしれません。正直な話「認定をとったんで10万円高い年収を希望します!」と言われてもそれだけでは交渉材料としては弱いです。でも、実際に採用する側の立場で言えば、同じスキル・好印象の候補者が2人いて、一方が研修認定薬剤師を持っていれば取得済みの薬剤師を採用するものです。
また、大手チェーン薬局のように給与テーブルが厳格に決まっている職場とは異なり、中小薬局は給与の設定に柔軟性があるケースが多いです。スキルや資格によって年収が大きく変わります。研修認定薬剤師の有無は、その交渉を有利にする材料のひとつになります。その具体例が下記にある”かかりつけ薬剤師”と”地域支援体制加算”です。「この資格を持っているので、給与面でご考慮いただけますか」という一言が言えるかどうか、それだけで結果が変わることがあります。
地域支援体制加算・かかりつけ薬剤師の「必須要件」になっている
研修認定薬剤師を持っておくべき理由は、採用印象だけではありません。
実は、薬局の調剤報酬のに関わる重要な加算の要件にも関係しています。
かかりつけ薬剤師指導料を算定するためには、「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定を取得していること」が必須条件のひとつです。かかりつけ薬剤師として患者さんに寄り添うためには、研修認定薬剤師であることが求められているのです。
そして、薬局が利益を残すために重要となってくる多くの薬局が取得を目指している地域支援体制加算において、管理薬剤師が認定を持っていることが要件になっていると共に、かかりつけ薬剤師指導料を1万枚あたり20回取ることが要件の一つとなっています。
薬局経営の観点から言えば、研修認定薬剤師は「いてくれると加算が取れる薬剤師」であり採用する側にとって、それは非常に大きな価値があります。言い換えれば、研修認定薬剤師を持って転職活動に臨むことは、「この薬局の収益に直接貢献できます」というアピールになるということです。
特に管理薬剤師として転職を希望する場合、地域支援体制加算を取得・維持したい薬局では、研修認定薬剤師であることが事実上の必須条件と考えた方が良いです。求人票に明記されていなくても、面接でそれを持っているかどうかを確認される場面は少なくありません。
40単位を取るということは、幅広い基礎知識を持っている証明
研修認定薬剤師の初回取得には、4年以内に40単位以上の取得が必要です(毎年5単位以上)。
90分の講義などで1単位を取得することがができるので、40単位を取ろうとすると40単位×90分=3600分=60時間も勉強しなければなりません。
4年間で取得を目指すとなると1年あたり15時間、1か月あたり1時間ちょっとを勉強の時間に当てれば良いのですが60時間を勉強の時間に充てるとなると病態、調剤に関する法規、コミュニケーション、地域医療などなどさまざまな分野の勉強をしていかないとその時間には達しません。
逆に言えば、研修認定薬剤師を取得した薬剤師は、薬剤師としての幅広い基礎知識を一通り学んでいるということです。
たとえ研修認定のために受講していたとしても、それだけの時間を勉強に充てておりそれによって知識を蓄えている人は経営者としては魅力に感じますし安心感もあるため転職活動時に有利になることとなります。
転職のタイミングで持っているかどうかが勝負
研修認定薬剤師の取得には、2025年4月以降、eラーニングの1日取得上限は4単位までと決まっており一気に取得することは出来ません。(とはいっても1か月本気を出せば取れますが)
その単位を取得したとしても、認定を受けるには薬剤師研修センターに申請を出して認定されるまで待たなければならないため最低でも1か月は見ておいた方が良いでしょう。
転職を考えた時に取り始めて、面接の時に「現在40単位は取得が終わっています。」と答えても良いのですが、採用する側からすると”持っている”か”持っていないか”というのは印象が大きく変わります。
また、最短で1か月くらいで取れると言っても仕事をしながら60時間もの勉強時間を作るのは現実的ではないため普段の薬剤師としての業務をしながら少しずつ単位を積み上げていくことが理想です。転職活動を始めると履歴書や職務履歴書の作成、転職候補の薬局のホームページをくまなく見るなどやることがたくさんあるため、勉強している暇はありません。
転職市場に出たとき、研修認定薬剤師を「すでに持っている」状態でいられるかどうか。それだけで、採用側に与える印象と年収交渉の結果が変わってくるため、普段から意識して勉強を続けるのが重要です。
まとめ|研修認定薬剤師は転職の「武器」になる
研修認定薬剤師を持って転職活動に臨むことのメリットをまとめます。
- 採用側に「学ぶ姿勢がある薬剤師」として好印象を与えられる
- 年収交渉で有利になる可能性がある(数万円の投資で数十万円のリターンも)
- かかりつけ薬剤師指導料・地域支援体制加算の要件を満たせる
- 幅広い基礎知識を持っていることの証明になる
- 特に管理薬剤師や加算算定を重視する薬局への転職では事実上必須
eラーニングで取得できる今の時代、研修認定薬剤師を取らない理由はほとんどありません。
転職を考えているなら、まず研修認定薬剤師の取得から始めてみてください。それが、次のステージへの最短ルートです。

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