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引越し転職に強い『薬剤師』と『マクドナルドクルー』の共通点

薬剤師の業務は各種病態のガイドラインという教科書に沿って正しい治療が行われているかを確認し、患者さんからは診療報酬という厚生労働省が定める値段をもとにお金を請求します。

日本国内で薬剤師はどこの地域でもその教科書に従って妥当性があるかを検討し調剤・請求をします。そのため北海道から沖縄までどこでも同じ手順で仕事をしています。

この構図ってマクドナルドのようなチェーン店と近いことにお気づきでしょうか?

マクドナルドのクルー(従業員)が他の地域でもすんなり再就職ができるであろうことを考えると、同じように薬剤師も転職についてはそうハードルが高くないことが想像できるはずです。

今回はマクドナルドのクルーと薬剤師という仕事の転職に関する共通点を探っていきましょう。

目次

共通点① 全国で共通のマニュアル

マクドナルドのマニュアル

マクドナルドのホームページにマニュアルについて記載されているものがありました。

マクドナルドは日本国内で2,900店舗以上。どの店舗でもお客様が心地よいサービスを受け、おいしいハンバーガーを楽しんでいただけるよう、オペレーションマニュアルが用意されています。そこには、マクドナルドが大切にしている経営理念の共有から始まり、衛生管理やパティの焼き方などの調理工程、臨機応変な接客の仕方など様々な内容が事細かに記されています。

マクドナルドホームページより

消費者としてマクドナルドを利用すると日本全国、どこでも同じハンバーガーを同じ品質で購入することができます。

それはマクドナルドの企業として使命として「おいしさと笑顔を地域の皆様に」という企業理念の共有や各種バーガーの作り方などソフトウェア部分での共通したやり方が規定され、アルバイトの高校生が初日から綺麗なハンバーガーを作れるほど作り込まれているそうです。

薬剤師のマニュアルであるガイドラインと診療報酬

薬剤師は例えば患者さんの血圧が収縮期180mmHgという数字だった場合、高血圧ガイドラインに照らし合わせて標準値から逸脱していると判断し、降圧剤が処方されている処方箋を確認して間違いないと判断し処方箋に記載されている降圧剤を調剤し患者さんに説明と共に交付します。

高血圧ガイドラインは日本高血圧学会という偉い医師たちが知識を結集して血圧管理についての所見を集めた上で今考えられる最適解と思われる数字や薬の使い方などを示したマニュアルと言い換えることができると思います。

会計に関しても、調剤基本料や各種加算など条件によって薬局があてがわれてそれに従って点数が決まっているという意味で本部が値段を決めている構図と似ています。

共通点② 全国共通の機械によるオペレーションシステム

マクドナルドのキッチンオペレーション

マクドナルドでハンバーガーを作る過程にはパンを焼く、肉を焼く、ケチャップやオニオンをつける、それを挟んで包装紙にくるむと言った分解するとさまざまな工程があり完成します。

2005年に「メイド・フォー・ユー」というバーガー類を作るキッチンシステムを導入し誰でも効率よく正確に作れるようになったそうです。→マクドナルドの今昔「01キッチンオペレーション」より

この画期的なシステムとマニュアルが合わさることにより誰でもどこでも同じ品質のハンバーガーを作ることが可能となりました。

薬局の調剤オペレーション

薬剤師は処方箋をもとに調剤しますが、医師の指示は

  • 嚥下困難のため粉砕してください
  • 手が不自由のため一包化をしてください
  • 軟膏は混ぜて使いたいのでアンテベート軟膏とヒルドイド軟膏を混ぜてください

と言ったように飲んでほしい薬の指示だけでなく、それを加工する指示が付いてくることが多いです。

薬剤師はその指示の

  • この薬は粉砕しても変質しないか?
  • 全国で3社くらいしか出していない一包化の機械を使ってパッキングする
  • 軟膏は混ぜると配合変化を起こすため『配合変化ハンドブック』で確認しながら2種類を混合する

と言ったように全国同じ教科書を用い、同じような機械を使って一包化をします。

一包化の機械は3社ほどから発売されていますが、多少の使い勝手は違うものの使用方法はほぼ統一されており調剤業務をしてきた薬剤師であれば使ったことがない機械でも問題なく操作できると考えられます。

共通点③ マニュアルやルールの作成と雇用形態

マクドナルドのフランチャイズ形体

またマクドナルドは本部が値段を決めるフランチャイズという戦略をとり約7割がフランチャイズオーナーによる経営だそうです。→BUSINESS INSIDER記事より

フランチャイズ方式で店舗が運営されている場合、店舗を経営するのはフランチャイズ本部ではなく、その本部との間でフランチャイズ契約を結んだフランチャイズ加盟店です。皆さんはそのフランチャイズ加盟店のオーナー(経営者)に雇用されることになります。出展:日本経済新聞「雇っているのは誰?フランチャイズという仕組み」

出所:石田眞・浅倉むつ子・上西充子『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』旬報社

近所にあるマクドナルドは多くの場合、本部が作成したマニュアルを使い本部が整えた流通経路から仕入れたものを使ってハンバーガーを作成し、加盟店が店舗の責任者として会社を経営して従業員を雇っています。

また、価格設定にしても『マクドナルト新宿店はオープン記念で50%オフキャンペーンをやっています!』のように店舗ごとには変えられず、本部が決めた値段で販売することになります。

薬剤師(特に薬局)の経営形体

調剤薬局は半分以上が中小企業の経営と言われており一般的には個人店が多いイメージが強いと思います。

ただ薬剤師の仕事は何度も出てくる通り、各種学会が作成したガイドラインに沿った治療をおこない、診療報酬を下に会計をします。東京でも秋田でも家賃は違うのに同じ値段でサービスを提供しなければなりません。

雇用主は〇〇薬局とはいえ、これはフランチャイズという側面があると言っても過言ではないと思います。

マクドナルドと薬剤師の相違点

同じところを見ていけば共通点はあるものですが違うところと言ったら『経営者の方針や雇用される薬剤師の職場選択による自由度の高さ』だと思います。

マクドナルドは同じマニュアルで同じ機械を使い、同じ値段で販売します。

一方で薬局は同じガイドラインで同じ調剤報酬を持って金額を決めますが、その調剤報酬は取得する『加算』によって変わってきます。

『地域支援体制加算』は24時間体制で処方箋の応需体制を敷き、1200以上の薬品を備蓄し、薬剤師の経験人数や認定制度の取得状況など高いハードルをクリアしてもらえる加算ですがこれを取るか取らないかは薬局の経営者や働く薬剤師次第です。

また、マクドナルドは新メニューが開発されて作り方を覚えるという新しい知識を求められるかと思いますが、薬剤師は全ての診療科の最新のガイドラインを常に学び続ける必要がありますし、それを分かりやすく患者さんに説明するなどより専門的な知識を必要とされます。

働く薬剤師にとって全ての診療科の知識は必要ですが『循環器内科クリニックの近くにある薬局』『在宅専門をうたっている薬局』と言ったように、診療科の偏りを予測してある程度専門に特化して仕事をすることができます。

まとめ:薬剤師は日本のどこに行ってもすぐ仕事ができるスキルをもっている

マクドナルドというチェーン店の従業員と薬剤師という専門職の共通点を挙げてみました。

もちろんどんな職種だって同じようなことが言えるのは承知しておりますが、転職に際して『薬剤師は全国基準の仕事をするため転職する際に薬剤師としてのスキルは役に立つ』ということを改めて認識していただければ幸いです。

ただ、薬剤師は働く病院や薬局によって方針が異なりその会社では評価されるものの他の薬局では全く評価されないスキルを磨き続けている可能性もあります。

今現在で転職を考えていない人も『勤めている会社の方針に沿った勉強』をして昇進するのも良いですが、かかりつけの加算やレポートの作成など『転職しても活かせるスキル』を磨き、より自分の合った職場を探すための準備をすることをお勧めします。

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