薬剤師の働き方といえば、正社員・パート・派遣といった働き方を思い浮かべる人が多いかと思います。
ですが、転職活動を始めて転職エージェントや派遣会社へ登録をすると『紹介予定派遣という働き方もあるがどうでしょう?』と言われて何のことだかわからなかった方もいたのではないでしょうか?
名前は聞いたことがあっても
- 普通の派遣と何が違うの?
- 転職エージェントの経由した転職活動との違いはなに?
- 正社員として働けるの?
と仕組みがよくわかっていない人も少なくありません。
今回は薬剤師の転職を考える上で知っておきたい、紹介予定派遣という働き方についてざっくり解説していきます。
紹介予定派遣とは?
紹介予定派遣とは、最初は派遣会社所属の薬剤師として薬局に派遣社員として働き、一定期間後に直接雇用として正社員や契約社員として正式契約な契約をして薬局に雇用される働き方です。
一般的には派遣契約として3ヶ月〜6ヶ月くらいの期間働き、契約が切れる頃に薬剤師と薬局の双方が合意すれば直接雇用をする形となります。
簡単にいうと派遣というワンクッション置くことで、お互いに”良い会社””良い人材”なのかを見極めてから契約するという、お試し期間付きの採用の仕組みと言えます。
紹介予定派遣は誰のためにある制度なのか?
紹介予定派遣は主に受け入れる企業側の『採用に失敗したくない』という心配を解消してくれます。
転職エージェントを使った採用活動は『転職エージェントって本当に無料で使えるの?』という記事にも書きましたが、採用した時点で年収の約30%、年収500万の人でも150万円(+税)の紹介手数料がかかってきます。
その紹介手数料は大体の会社において入職後3ヶ月くらいで辞めると20%の返還、6ヶ月を超えると返還なしといった感じで採用して支払ったお金はほぼ返ってこないお金となるため、採用する側としてはミスマッチの採用は手痛い出費となります。
またお金だけでなく、採用した企業は「簡単に解雇できないので薬剤師を採用するときは慎重になる」という現実もあります。
よく言われることですが日本では労働者保護が強く
- 解雇には「客観的に合理的な理由」が必要
- 社会通念上「相当」と認められなければ解雇は無効
- 能力不足やミスマッチを理由に解雇は難しい
という仕組みになっているため、薬局の経営者は特に人件費が大きくかかる薬剤師の採用は慎重にならざるを得ません。
採用する企業として派遣期間という実際に働く期間を通して数ヶ月後に正式に雇用するというクッションは、会社に合わないモンスター社員の採用を防ぐという意味では有意義なお試し期間となります。
求職者にとってのメリットはある?
雇う薬局側の大きな失敗を防ぐという意味でのメリットが大きい紹介予定派遣ですが、求職者にとってもメリットがあります。
まずはシンプルに派遣の期間は時給が高い傾向があります。
派遣で働くときは長くて3年までしか同じ職場で働くことはできず、不安定になるため時給が高い傾向があります。
具体的にいうと2,500円〜3,000円くらいの時給で求人が出ていることが多いです。
そして、経営側が継続雇用をしなければならないリスクを回避するということは、採用ハードルが下がり間口が広がるということにつながります。
社長正社員を雇うとなると、簡単に解雇はできないから絶対に失敗はしたくない。派遣という形態ならお試しの半年間だから、とりあえず契約してみるか。
といった感じで、正社員ではリスクを恐れて契約できない案件でも派遣という一時的な契約であれば職場に入ることができる可能性が上がります。
求職者にとって働く場がないというのはスタートラインにすら立たないことを意味します。
確かに正社員は安定的に仕事を続けるうえで魅力的ではありますが、派遣やパートなど形はどうあれ薬局で働く場を獲得して、良い仕事をすることでその後に安定的な正社員を勝ち取ればよいのです。
採用する会社のデメリット
主に企業側がミスマッチ採用を防げる紹介予定派遣ですが、大きなデメリットとして企業が支払う手数料の高さが挙げられます。
人材紹介と派遣事業を同じ会社から使うからと言って特別な割引はありません。
派遣会社はざっくりですが薬局から時給4,000円〜6,000円をもらい、薬剤師を時給2,500円〜3,000円で契約し働いてもらい、派遣会社に残る利益は2,000円〜3,000円程度となります。
薬剤師のパート時給が2,000円〜3,000円なので、派遣薬剤師は下手すると2倍のお金を払い働いてもらうことになります。
正社員前提の紹介予定派遣だとすると、時給5,000円を派遣会社に払う場合では6ヶ月のお試し期間として
約半年で新人薬剤師の年収くらいを払うことになります。
さらにそのまま有料職業紹介として入職をすると、年収550万円だとするとその約30%である165万円(税別)が紹介手数料として請求されます。(これは元々紹介してもらった手数料なのでどちらにしても払う必要はあるのですが)
もし派遣部分をパートで時給2,000円で雇えたとすると、派遣と比べて時給の差額は3,000円。同様の計算式で約288万円も派遣会社に手数料を払っていることになり、それに紹介手数料を加えると合計で453万円にもなります。
確かに価値観の合わない社員を雇ってしまうリスクを回避できる可能性があるとはいえ、お試し期間で288万円、3ヶ月としても144万円という金額は経営者としたらちょっと高すぎる金額と思うことでしょう。
求職者のデメリット
求職者の最大のデメリットは派遣契約終了とともに仕事がなくなるリスクがあることです。
企業側のメリットと相反するところですが、薬局側が気に入らなければ3ヶ月をもって契約終了となるため派遣会社を通じて他の薬局を探してもらいまた新たな職場での勤務が開始となります。
正社員雇用であれば法律に守られているためそう簡単には解雇されませんが、派遣という働き方はそういう意味ではすごく不安定な働き方になってしまいます。
個人的には薬剤師としての幅広い診療科の知識や診療報酬の知識を持った上で『私はどこでも引っ張りだこだぜ!派遣でもなんでも次の仕事に困らないからどんとこい!』くらい自信とスキルを持っていれば、安定にこだわる必要はないとは思います。
まとめ|紹介予定派遣は企業側が受け入れるなら使ってもよし
実際に紹介予定派遣を使おうとするときは、転職エージェントや派遣会社から「企業が紹介予定派遣を利用したいと言っているんですけど。」と提案があるときが多いかと思います。
理由としては、紹介予定派遣の最大のネックは企業が払う手数料がかなり大きくなる事でありリスクのほとんどを企業が引き受けるためです。
薬剤師を採用する企業が
- 会社に合わない薬剤師を採用しないために費用を払うのか
- 面接だけである程度見極めて採用をしていくのか
などそれは会社によって方針が異なります。
求職者の立場としては派遣の契約終了まで安定雇用が決まらないデメリットはあるものの、紹介予定派遣の概要を知っておき先方から提案があったときは使ってみても良い制度だと思います。









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